情報社会で知識の価値は減ったのか

インターネットの利用目的の最大のものは検索であろう。
インターネットの利用者が検索を目的としているので、Googleという検索サービスのサイトが急成長を遂げることができた。
インターネット検索により、さまざまな知識を入手することができるので、個々人は所有している知識というものは価値が下がっているように思われる。
知識や情報は独占することで価値が高まる。
しかしネット社会となった今日、情報は独占できるものではなくなってきた。そのため、情報はいかに早く入手して活用するか、ということに価値が移っている。

そこで必要となるのは、情報や知識の関係性の発見である。
全く関係ないと思われる事象AとBがあるが、ある事象Cを仲介するとAとBは関連が発生し、新たな可能性を生じる、という具合。

関連性は発見されればそれは新たな情報に過ぎないが、これを発見するためには仲介するための知識を持っていないといけない。

インターネットで個々の情報について知識を得ることはできるし、関連情報もWEBサイトで見つけることができるだろう。
しかし全く関連性の見つかっていない複数の情報について関連性を見出すことは、情報の検索だけでは不可能である。

価値ある情報というのは新しい情報のことであり、それは既存の情報・知識の間に横たわる未知の関連性の発見である。価値ある情報を生み出すには、さまざまな知識を動員させないといけない。

そのためには知識を溜め込む必要がある。
インターネットでさまざまな情報を入手できるが、それらの情報を上手く使いこなすための経験が必要なのだ。

そして情報を溜め込むだけではなく、情報を溜め込むことによって今は知らない情報であっても検索できるようになる。

インターネットでの検索は、「キーワード」ありき、である。そのキーワードをいかに見つけるか、というのが重要になっている。そのキーワードを探すためには、取っ掛かりのための知識が必要で、たくさんの取っ掛かりを持っていることがこれからの情報社会では必要となってくるだろう。


2008/09/25 追記
面白い記事が書かれたのでリンクしました。
知識についての知識について
「知っている」それ自体にはもはや何の価値もない

複数の知識を関連付けて新しい知識体系を作る、というのは「知識についての知識」を使う作業のことだろう。知識を蓄えておくことで知らない知識を検索できるようになるのではなく、「知らない」対象物からいかにキーワードを探すのか、どうやってキーワードを探すのか、といった方法論がこれからは重要だということか。もしかしたらそれは経験によるのかもしれないが。