「友情を疑う」を読んだ

中公新書の9月の新刊に、「友情を疑う」がある。

面白そうだと思ったので買ったのだが、最近の友人関係、つまり通信事情の劇的な変化についての論考がまるでなかった。哲学史による論考であり、著者自身の論考は1割にも満たない。

友人や友情のありようは劇的に変化しているのに、このことについて全く考慮していないのは本書の価値を半減する。もともと価値があるのかも疑わしいと思うが。
哲学史として本書を読めば価値はあるのであろう。

本書の結論では、友情という言葉が「つかえない」ということになっている。
友情においては、必ず愛国心、国益への配慮へと拡大しなければいけない。

友情が公的空間でしかありえないというのも疑問だし、愛国心に拡大していかなくてはいけないというのも疑問だ。

友情は私的なものであり、それが目指すものは個人の成長であろう。
まぁ、今回は買って失敗だったかな。