かえるの歌を分析してみる


むかし、深夜番組で「音楽の正体」というのがあった。ポピュラーや歌謡曲をひとつのテーマで分析して音楽理論を解説するというもの。
ふと思い出し、「かえるのうた」を分析してみようか、と思い立った。
歌詞は
「かえるのうたが きこえてくるよ
 ぐわっ ぐわっ ぐわっ ぐわっ
 げろげろげろげろ ぐわっ ぐわっ ぐわっ」

「かえるのうた」は、誰でも知っている童謡で、多分、初めて覚える輪唱であろう。
楽譜をアップしました。
これを分析してみよう。あまり音楽理論的ではなく、しかし、そんなとこまで?というぐらい。

簡単な分析だと、この曲は2小節単位にAA’BA'' の形式になる。A'はAを3度上に動かしたもの。A''はAを8分音符でリズム分割をしたもの。で終わるかな。

さらに詳しく見ていこう。
各音の関連をみると、2小節目の第4泊は休符となっている。2分音符でもよさそうだが、この休符は5~6小節目の「ぐわっ、ぐわっ、ぐわっ、ぐわっ、」の予備となっている。2分音符はありえない。また、「ぐわっ」 の鳴き声を模倣するため、4分音符-4分休符の並びが必要だ。
童謡において、自然の音を模倣することは子供の興味を引くためにも使いたい。
3~4小節目は1~2小節目と同じ音の並びだが、全体を3度上げている。音楽において、上行の音の並びは、自然とだんだん大きくなる。この1小節目のドレミファの上行形とAとA'の音程の上昇は、「かえるのうたが きこえてくる」という詩からイメージされるべき、だんだんかえるの声が増えていく様子を表すのにちょうどいい。輪唱で3小節目に声が増えることにより、この効果は倍増される。
 では2小節目と4小節目の下降形はどうだろう? 音楽は緊張と緩和が原理である。上行したならば、下降しなければならない。1小節目が順次進行(1つずつの上昇)なので、下降も順次進行のほうがいい。輪唱を念頭におくと、強拍となる1と3泊目はドミソの音で始まるのがいい。また2小節目と4小節目は、4小節目のほうが大きくなるべきだから、2小節目の1泊目はミになるべきだ。
 5~6小節目は全体の中では全く別の形だ。先に書いたように「ぐわっ」のかえるの声の模倣だから4分音符4分休符のリズムは決まっている。では1泊目と3拍目が同じドの音なのはどういう理由だろう?ドとミではいけないのか? ドとミでもよさそうな気がする。しかし以下の理由があるだろう。(1)7小節目の各音を8分音符に分割することの予備 (2)同じ音を繰り返すことにより漸拍感の上昇。
 7小節目から八分音符が出現する。これは5~6小節で予備された同音の繰り返しの実現であり、この小節で輪唱のクライマックスになることから予定されたもの。
八分音符であれば、4分音符の間で音が認識できるので、かえるがいっぱいいる雰囲気を出せる。16分音符では歌えないので8分音符である。

以上だが、まだ各音には深い理由があるかもしれない。
それにしても「かえるのうた」はよくできているなぁ。

次は何を分析しようか。