チップ文化が日本に来るかも

日本のサービスは過剰だ、といわれることがあります。ヨーロッパに生活している人のブログなどを見ると、接客サービスで店員さんを無愛想だ、と感じることがままあるようです。
 それは逆に言うと、日本の接客がサービスが多い、ということでもあります。そしてそれが普通だと思ってしまっています。

例えば、電気屋さんに新しい家電設置を頼むと、たまたま見つけたむき出しのコードがあると、ぱぱっと修理してくれたり、贈り物なのでラッピングを頼むと、リボンをつけてくれたりといったちょっとした付加サービスが当たり前のように存在していました。

日系ビジネスのコラムに
遙 洋子の「男の勘違い、女のすれ違い」
というのがあります。今日、更新があって、読んだのですが、その内容はというと、つぎのようなもの。曰く、
上記のような付加的サービスが無くなった、それだけじゃなく、普通のサービスさえままならなくなってしまった。顧客の要求をきちんと聞いてくれていない。これが時代なのだろうか。こういう時代であれば、出世は簡単。顧客の要望をしっかり聞き、顧客の立場に立ってよいサービスを心がければ評価されるだろう。
といったもの。

さて、ここで私は気になりました。
接客サービスの矢面にいるのは果たして正社員だろうか? ということです。
電気製品についてのアフターサービスの窓口はコールセンターと呼ばれ、その対顧客の最前線たるスタッフは契約社員とか派遣社員といった非正社員です。
電気工事で実際に各家庭まで出向くのはこれまた派遣社員です。
老舗と呼ばれるようなお店でも店員はアルバイトであったり、派遣社員であったりです。
こういった、対人サービスの最前線にいる人たちは、非正社員であることが結構多いでしょう。
非正社員にとって、「評価され」「出世する」というのは何でしょうか?
「カリスマ店員」とまで言われるようになれば待遇だって変わるかもしれません。しかし正社員とは比べ物にならない低賃金で、評価などされようも無い、というのが現実です。
評価されないのに、顧客が満足し、再び店に足を運んでくれるようなサービスをして何になるというのでしょうか?

今までは、正社員としての店員であり、店の評判がよくなれば売り上げが上がり、自分の評価が上がり、出世する、ということが期待できました。そういったモチベーションがあるため、サービス料として店に直接支払っていて問題ありませんでした。

これからはどうでしょう?

サービス料は店の収入になるでしょうけど、それは直接サービスしてくれた店員さんに還元しません。

ではどうするべきか?

そこでチップ文化です。
チップは対人のサービスをしてくれた店員さんに直接報酬を与えることが出来ます。
今の日本では同一労働同一報酬が実現されていません。
店員さんに対する対人サービスの報酬は、チップによって顧客足る私たちが直接サービスの評価をすることで店員さんのモチベーションが上がるようになります。

チップ文化は「サービス料」として一律に店に支払う方法により日本では廃れましたが、これから非正社員による対人サービスが多くなってくる場合、チップによるサービス評価のほうが公正ではないかと思います。

また、それを下支えするような仕組みが必要になるのではないかと思われます。