共感覚の不思議

音に色が見える世界 (PHP新書)
岩崎 純一
PHP研究所

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以前読んだ、「絶対音感」という本の中に、音に色を感じる共感覚のことが少し書かれていました。いわゆる五感というものはそれぞれが別個にあって、耳で感じる感覚、舌で感じる感覚、目で感じる感覚、そういったものは別々に存在しているように考えられていました。目を閉じると見えないし、音に色を感じるとか、文字に色がある、といったことは想像の範囲を超えているように思います。
共感覚とはそういった五感が独立しておらず、目で見るものの中に音を感じたり、文字に色を感じたり、音に匂いを感じたりすることをいいます。
著者はそういった感覚を持った人で、その共感覚というものがどういったものであるのかを研究しており、本書で共感覚を紹介しています。
著者は共感覚は昔はみんなが持っていたものであり、近現代になってきて失われたものだ、と考えています。古文の表現からそれを思いついたようですが、共感覚が過去にはみんなが持っていた、と言う考えに拘泥しているようです。確かに、「味を見る」とか「香りを聴く」などの表現があり、感覚に関する言葉が五感と一致していないことを考えると、共感覚が普通に存在していた、と考えるのが自然です。ただ、それがすべての人にそうであったかどうか、あるいはその強度(人によっては音に色を感じるだけとか、においや味とかたくさんのパターンで共感覚を得るとかの違い)の違いがあるだろう、と思います。

本書はまだ共感覚がどういったものなのか、といった紹介的なもので今後の研究に期待されます。読んでいて面白いのは間違いありません。

ところで、文字に色を感じるそうですが、色弱調査とかどうだったのでしょう?例えば「あ」という文字は青色に見えるようですが、青色の紙の上に赤で「あ」を書いた場合とか。読めないのかな?

この著者は男性ですが、女性のほうが共感覚を持っている人は多いようです。もし文字に色を感じたり、音に色を感じるとかといった感覚があるなら、著者に連絡してみるといいでしょう。

IJ ART MUSIC

このサイトでは著者がどのように女性が感じられるか(見て、聞いて、匂うのか)とか研究していることとかが紹介されています。
著者が作った女性を見たときに感じる音とかを聞くと、ちゃんと調性があって面白いですね。