古楽演奏は伝統にならないといけない

演奏家、という職業は芸術家に属するのだけど、芸術家とは違う部分も必要なんだろうなぁ、と思うようになった。

何かというと、伝統の継続である。

現代における芸術とは、オリジナリティが多分に重視されている。
伝統とは、職人の領分であろう。そこにオリジナリティは必要ない。
楽器演奏では、日本の伝統音楽。つまり雅楽などはその際たるものだ。

最も良い雅楽の演奏は、師匠とまるっきり同じ演奏であろう。

そこで思ったのが、西洋の伝統音楽の古楽器である。
西洋の古楽器演奏は、失われた伝統である。

古楽だと、演奏者にゆだねられている装飾音とかがあるのだけれど、時々師匠に「こうしたら」といわれることがある。内心「これじゃ駄目なのか?」と反発したくなることもあったのだけど、それじゃいけないんだ、と思うようになった。

なんといっても伝統なのだ。発掘した演奏方法であり、完璧ではないが、伝統の部分は残さないといけない。