ブラック企業に対抗するにはギルドじゃないかな

先日紹介した、海外ニートさんの

ブラック会社が淘汰されない仕組み。

に対して、モジックスさんが記事をかかれました。

なぜ日本ではブラック会社が淘汰されないのか 日本は雇用の流動性が低いから、労働者の価値が低い

海外ニートさんの記事では、問題の現状認識として同意するし、ちょっと口が悪いけど社畜にしてもそうだろう、と思います。
しかし、じゃぁ、解決法はあるのだろうか? というところまでは踏み込んでいません。海外に在住ですし、解決方法まで書かなきゃいけないというようなものでもありません。海外からの視点で日本の社会はおかしいよ!という指摘はとても有難いものだと思います。

日本に住んでいると、その問題のある社会の中で生活していかなければいけません。ですから海外ニートさんのような指摘があると、「じゃぁ、どうすればいいんだ?」という気になります。そこでひとつの解決案を示しているのが今日紹介するモジックスさんの記事です。簡単に言うと、雇用規制をなくして、流動性を高めれば、ブラック企業は淘汰される、というものです。

確かに、簡単に解雇ができるようになれば、求人も出しやすくなるでしょう。一旦雇用してみて、どれぐらいできるのか見極めてから、欲しい能力に達していないようなら解雇しよう、と思えば、求人数が増えるでしょう。
しかし、通常は雇用してから解雇という順番ではなく、解雇してから雇用する、の順番ではないかと思います。つまり、雇用規制がなくなると、求人が増えるより先に解雇が増えて失業者数が増大するだろう、と思います。事実、雇用規制の少ないヨーロッパやアメリカのほうが失業率は高いです。日本は5%程度ですが、アメリカは8~9%、ヨーロッパは10%を越えているところもあります。
今の失業率の主原因は不景気だからですが、相対的に雇用規制の少ない国のほうが失業率は高いようです。まぁこれは差分の3~5%をブラック企業が引き受けているから、と考えると失業率が低いからといって喜べるものではないと思いますが。

雇用が真に流動的であるなら、6ヶ月働いて6ヶ月休暇(実質失業)という生き方もあるでしょう。こういう人が増えても失業率がアップします。

雇用規制がなくなると、まず失業者が増えて失業率が高まり、ついで求人が増えるようになると思います。それでとりあえず3~6ヶ月の短期雇用として就職できるけど、3~6ヶ月で解雇されます。解雇されても次の会社がすぐに見つかるかもしれません。見つからないかもしれません。短期で解雇されている人が求人に応募してきたら会社側はどうするでしょうか? 「この人は前の会社では仕事ができない、と判断されたのだろうな、応募書類からは雇用してもよさそうだけど他の人もいるし縁が無かったことにしよう」となる気がします。能力的には十分求人に応えているのに、その短期で解雇されている、という職歴が不利に働くように思います。さらに厳しいのが失業保険です。短期で失業すると、失業保険がもらえません。失業保険を受けるには、12ヶ月以上の保険金の支払いが必要ですが、雇用保険を支払えるのは働いている間だけでしょうから、短期で失業すると保険金が下りず、生活がとたんに苦しくなります。
こうなると、雇用流動化は労働格差が広がっていくように思われます。
ひとつ対策としては、業種ごとにギルドを作ることだと思います。就職仲介をするギルド。ギルドが能力を保証し、企業はギルドが紹介する人を採用する。労働者はギルドに登録することで次の就職先を見つけやすくなります。労働組合のようなものですね。現在企業が持っている求人に対する選択権を極力なくし、ギルドが紹介する人を採用しなければいけないようにします。企業側は採用した人材に不満があれば解雇できますが、何回も解雇するようであれば、条件が悪いのが理由なので、条件を変えなければいけません。企業の人事は、採用した労働者について、ギルドにその人の評価を提出しなければいけません。まぁ、特定の人が欲しい、ということもあるでしょうから、その場合はギルドに対して、「この人」と指定することも可能にする必要があります。
このイメージに近いのが派遣会社です。今の派遣会社は登録時にメンバーの能力査定をしていると思いますが、派遣してからその能力査定を更新していないと思います。常に派遣社員の能力把握に努め、企業の募集に対応できるようになれば変わると思います。現実には企業は派遣会社を通さずに採用する道もあるので、民間企業としての人材派遣会社では無理があると思います。

新卒だろうがなんだろうが、就職するにはどこかのギルドに登録しなければいけない、というのがいいなじゃいかなぁ、と思います。そうなるとギルドは国営になるのでしょう。このギルドがどういったものになるのかはイメージが希薄ですが、労働組合もうまく働いていないような現状では、こういったギルドが必要なのではないでしょうか。