天文学で使う単位

天文で使う距離の単位は、一般的に知られているのは「光年」でしょう。ご存知のとおり、光が1年間で進む距離のことです。

そのほかに重要な単位として天文単位というものがあります。今日のニュースはこれ。

「1天文単位は1億4959万7870.7キロ」、国際天文学連合が新数値

いままで、3mの誤差があったのを修正した、ということです。1天文単位というのは記事にあるとおり、地球と太陽との平均距離です。平均というのは地球の軌道は楕円形なので太陽に近いとき(近日点)、遠い時(遠日点)があるからです。
地球と太陽との距離を使うのは分かるけど、1億5千万キロに丸めちゃえばいい、という気がしてきますが、そうはいかない。
というのも距離の単位にはもうひとつあって、パーセクがあるからです。パーセクはper Secondの略で、1秒角、ということです。角度がどうして距離になるか、というと、二等辺三角形の頂角(等しくない角)の角度を使うからです。二等辺三角形の底辺に地球と太陽の公転軌道の直径を利用して、直径の両端から見て、角度が2度になるような距離を1パーセクとしているからです。何故2秒なのかというと、太陽と地球との距離の2倍が公転軌道の直径なので、太陽と地球との距離から図ると1秒になるからです。

そこで、太陽と地球との距離、すなわち1天文単位をもし、1億5千万キロに丸めてしまうと、地上の観測結果と違いが発生してしまいます。

パーセクが重要なのは、地球からある星までの距離を測るときに、地球上で半年をかけ、太陽をはさんで2天文単位の距離が測れた2点でその星の角度を測るからです。地球上で観測する以上、地球と太陽との距離はどうしても基準にしておく必要があるのです。

パーセクは約3.26光年なので、3メートルは誤差ともいえない誤差でしょうけど、今後観測精度が上がり、月面上での観測が普通になったら、また変更があるかもしれませんね。