寮制の生活指導の難しさなのか

ハリー・ポッターでは生徒は寮生活をしていました。イギリスでは伝統的に、貴族や上流階級の人たちは全寮制の学校に入学しています。寮制というのが普通です。大学でも寮を用意している学校もあります。
日本でも私立の学校では寮制をとっているところも出てきました。
授業時間だけでなく、放課後や生活習慣なども指導できるので、教育システムとしてはいい方向性があると思います。指導する教師は大変ですけど。
大変なのは分かります。授業だけでなく生活指導を、しかも順番に夜番がくるので、そういう時は生徒と同じ寮棟で寝泊りしなくてはいけません。
そういう生徒に近いところで指導する寮制ですが、こんな記事が。
高校寮に喫煙室 設置容疑で愛知の私立高校を家宅捜索
隠れて喫煙する生徒や、喫煙が見つかって自宅謹慎となる人は毎年何人かいるものです。
通常の学校であれば、指導外のこととして見て見ぬ振りをすることもできますが(それは黙認というのもあれば、生徒の反省を促すためにわざとのこともあるでしょう)、四六時中指導する必要のある、寮制では見て見ぬ振りはできないでしょう。対応が必要になります。そこでこの記事のような喫煙部屋を作ってしまった、ということかと思われます。「裏山で吸われて火事になるよりは・・・」という理由もそれなりに真実味があります。寮制で始終教師の目が光っているとストレスでタバコに手を出す、というのもあるでしょう。中毒になってしまっては、いくら教師が指導しても改善するのは難しい。病気なのだから。
そうなると、アルコール中毒と同様に、専門の医者による指導が必要。しかし学校では中毒なのか単なる見栄や悪ふざけでの喫煙ならば注意と指導でタバコを吸わないように導く必要があります。その2種類の線引きは難しい。高校生でニコチン依存になっているようなのは困り者ですが、寮としてはそういう生徒を専門の病院に入院させる、となったら「教育の敗北だ」と思うかもしれません。学校にいて、生活指導をしながら、依存症の治療も続ける、というのは難しいでしょう。
学校に専門医はいなかったのか、ということが気になります。
寮には全体でひとりはかかりつけ医がいそうなものですが、喫煙とか飲酒とかの若気の至りを指導するための精神科については指導できなかったのかもしれません。

まぁ、実質的な喫煙室を作ってしまった、というのはまったくの落ち度としかいいようがないです。部屋は閉鎖されたようですが、これからどういう指導方針にするのか生徒の父兄は気が気ではないでしょう。生活指導の面倒も見てもらえる、ということが寮制のある学校の持ち味であり、それを生徒の保護者は期待しているのですから。