去年までは売り手市場でした。
今年の就職活動は厳しい、というのが6月ごろの話だったのですが、それでもそれなりに内定は出ていたようです。しかし、昨今の円高とか株価下落の直後にこのニュース。
大学生の就職内定取り消し相次ぐ 「業績悪化」理由に
株価の下落は、企業の業績悪化の結果でもあるから、企業として新入社員を受け入れて教育していくような体力がない、というのはそのとおりなのでしょう。
商習慣として、内定は労働契約の成立とみなされるから、企業側の一方的な内定取り消しは法律違反になります。企業側に正当な理由があれば別ですけど。たとえば内定取得者が履歴の詐称をしていたとか、内定後に犯罪を犯してしまったとか。
内定をもらった学生さん、麻薬に手を出してはだめですよ。
さて、今回のような内定取り消しは、バブル崩壊の時にもありました。その後、失われた10年として、就職難な時代が続き、フリーターが増えました。バブル時代に年功序列が見直され、コマーシャルで「職業選択の自由、あははん」と歌われた時代です。職業を選ぶ自由があり、また職業に就かない自由というのもあったのです。フリーターの収入が結構あり、フリーターでもそれなりの生活ができていた、というのもあります。
今回はどうでしょう。
大きな違いといえるのは当時に比べネットワークが広がったことでしょうか。ネットで調べれば、内定の一方的な取り消しは違法であり、損害賠償を請求できることがわかるでしょう。J-CASTのニュースでは東京・中央労働局の担当者の言葉として、「損害額は『次の就職が決まるまでの期間×支払われるはずだった月給』が妥当なライン」としています。内定取消しを受けた4年生が損害賠償請求をするのが今後のニュースとして期待されます。個々の損害賠償請求はニュースにならないでしょうけど、全体としてどれだけの請求があったのか、といったことがニュースになるのではないでしょうか。
一部では、内定取消しをすると、来年以降の募集に影響が出る、というのとバブル後の内定取消しを断行した企業でもその後でも普通に募集できている、という意見とがあります。当時と違ってネットが広がっていますから、内定取消しをした企業の名前が公開されるようなサイトが出てくるかもしれません。
前回の場合、第二新卒という言葉が生まれましたけど、今回ので新卒や第二新卒にというくくりが無くなり、企業年度での入社試験というような、年齢にかかわらない就職活動というものが広がるいいと感じます。そうなれば人材の流動化が広まっていいことだと思うのだけど、さて、どうなることか。