この判決は良く分からない

一斉退職:「背信的行為」退職金請求棄却 東京地裁判決

この裁判は、不思議に思えます。
有線放送で業界2位の「キャンシステム」の役員が退職し、新しく会社を起こし、その役員についていって、キャンシステムの社員が退職した、と言う話です。

従業員が会社を辞めるのは自由だし、辞めることで会社に損害が出るとしてもそれは会社が受け入れなければいけないものだと思います。そうならないように、従業員に対してきちんとした対応をしなければいけないはず。
退職する->退職金が多すぎて会社に損失を与える->背信行為になるので退職金支払い義務はない
と言う流れなのですが、退職金は退職時、退職が決まった後に出るもので、それで会社の経営が厳しくなろうと、退職した従業員に責任があるとは言えないと思います。それで懲戒解雇と言うのも全くおかしい。やめた人に対して懲戒解雇?そんな権利が会社にあるとは思えないのですけど。

この裁判では、289人について、「共謀してキャンシステムに損害を与える目的で退職した」としています。

会社の中の人望がある役員が退職し、その役員に社員がついていく、というのはごくごく普通にあることだと思います。会社は人がつくるのですから。
「共謀した」ことがどうして証明されたかについての記述は記事にないのでわかりません。

こんな判例が続いたら不況で退職金が払えない、退職するなら懲戒解雇とする、と言うようなことが起きそうで気が気でなくなります。

共謀されたことの証明を巡って上告するのではないでしょうか。